2012年8月20日(第2613回例会)
(担当会員:清水 美溥 君)
現実の政治について少し申し上げたいと思います。私は今の野田総理を物凄く評価しています。その前の何人かの総理大臣と一緒に仕事をしてきましが、その中でも野田総理は秀逸だと思っています。何故ならば、みんなが嫌う消費税アップを決めました。多くの人から反対を受けるからやらないだろうと思った大飯原発の再開を決めました。更に尖閣諸島の問題に対する対応も、彼は今何かをやろうとしています。国土を守り、日本の国を守っていくためには大事な問題なんだということをやろうとしています。消費税が上がるのが再来年の4月、3%上がる時に皆様方のお仕事や生活がそのショックによって破壊してしまわないようしなければなりません。一番肝心なのは、15年、20年続いている日本経済のデフレを再来年4月までにどう是正できるのか、デフレが止まって少しでも成長率が上がるところまでもっていけるのか。できないと価格転嫁できなくなり、日本経済が鈍化どころか大変な状況になってしまいます。こういうことを克服できる戦略を今年の秋からやろうとしています。一つひとつのことがその場では喜ばれないかもしれないけれど、民主党という政党を駄目にしてでもやろうとしている、そういう意味で総理大臣としては最近の中では勝れた人ではないかと思っています。因みに、民主党という政党は全く駄目です。優秀な人材が沢山いるのに政党になってしまうと力が発揮できない、こういう政党を率いてやっている野田総理の姿を私は高く評価すべきではないかと思っています。
民主党が駄目になって、間もなく選挙だと思います。私は11月に選挙があると思っていますが、自民党が第一党になることだけは間違いないだろうと思います。第一党になっても昔の自民党に対する信頼とは違ったものであり、自民党と公明党と合わせて衆議院で過半数を占めることはまずないだろうと思われます。それ以外の政党も加えて連立政権を組まないと、国会でうまくいきませんので、場合によっては維新の会も自民党と組むことになるかもしれません。ただ、多くの政党が組むことになると、なお決められなくなる可能性があります。総理大臣になる人がしっかりして、道筋を作っていかないと、さらにやりにくくなる可能性も出てきます。
選挙が終わってから、私が申し上げた全ての課題を克服して良い政権ができることを期待しつつ、現実に日本が置かれた状況を考えると、少子化をどう克服して日本の将来に活力が出るような仕組みができるかどうか。第二に今までは日本の経済力は競争力を持っていましたが、段々と他の国々も日本と同じような力を技術的にも資金的にも持つようになってきて、日本が抜群の力を持って勝つことができない時代になってきています。そういう中で日本の経済の成長力を、どこに重点を当てていくのか、生産部門を海外に置かないで、どうやって国内で生産して頂けるようにするのか、これは税制だけではないと思います。電力供給も含めて、国内で経済活動をやって頂く環境をどう作っていくのか、そのことに望みを持って頂けるような道筋ができるのかどうか、色々な課題があります。
消費税は上がることになりました。その分は社会保障費に全部使うことになっています。実際は公共事業等に使うのではないかということを新聞やテレビで取り上げ、それをきちんと説明できない政治は本当に情けないと思います。私は小泉さんの下で随分予算を組んだり色々な仕事しました。小泉さんが決めたのは6年間の歳出削減計画を大胆にすること。公共事業や教育費、防衛費、ODA等全ての経費を原則3%ずつ毎年削って、どうしても削れないのが社会保障費です。医療保険制度、年金制度、介護保険制度、これは皆さん方の保険料と国庫負担で成り立ち、医療と介護は窓口で皆さんが自己負担もされます。ところが少子高齢化で保険料を払う人が少なくなって給付を受ける人が増えて国庫負担が毎年1兆1千~2千億増えます。これを削った分だけでは賄えず、赤字国債が増えてきました。こうなると選ぶ道筋は、増税をして社会保障費に充てる、社会保障制度を将来に向けて国の負担を止めてしまう、この2つです。ただ、日本の秩序ある社会は社会保障制度があったからこそ保たれており、なくすことはできません。消費税アップで社会保障費を賄って、その他の費目はある程度柔軟性をもって、計画的に借金が返せたら、日本の財政はやっていけるし、一方で日本の成長戦略に回せるのではないかと、こういうことを国民の皆さんにきちんと説明できない政府は情けないと思います。
選挙後、連立で多くの政党が組まざるを得ないと思います。数が足らないと国会で進められなくなります。意見がまとまらないかもしれませんが、優秀な総理大臣を選ぶことで、その人がリーダーになって一つの意見を作り上げていくことが必要になります。問題は、あることを総理大臣がやろうとしたら、同じ政党の中でも賛成と反対がいるわけで、多く政党が集まったら更に賛成と反対がばらけてしまうこと。そうなったら反対の人には出て行ってもらう、それで自然と再編が少しずつ進んでいくので、まずは立派な与党を作ること以外に方法はないと思っています。
私自身、「たちあがれ日本」という政党を何のために作ったのか、当時、野党第一党になった自民党がこのままでは力を持って与党になることはできないだろう、自民党に喝を入れる意味でも、少人数でもいいからと石原さんたちと一緒に小さな政党を作りました。なかなか思うようにいかず、この政党が起爆剤になれるほど力があるかどうか分かりませんが、次の選挙が終わってから、そういう活動をしていって、立派な与党ができればいいなと、そこまでいったら私は政治家を辞めてもいいかなと思っています。昔は当選何回というようなキャリアを誇りましたが、今は逆で「こんなに長くやっている人は落としてしまえ…」というような流れが出てきています。いずれにしても間もなく選挙があります。落ちてしまったら笑い話にもなりませんので、九州の熊本で精一杯頑張りたいと思っています。
今日は貴重な時間を頂いて、私の思いを聞いて頂きまして有難うございました。以上で終わらせて頂きます。