「まちづくりと商売」 (松本  孝 君)

2012年9月3日(第2615回例会)

 
長い年月の間に街が大きく動いているというと、皆様から『なんでやねん』『どこがやねん』と思われるかもしれませんが、まず大正時代の大阪で一番賑わっていたのは松屋町筋なんです。全国のお菓子・人形の小売店がこの松屋町に集まってきた時代が長くあり、全国の50%の商いがあったと言われています。
昭和に入ると堺筋に、銀行・株式取引所・日本を代表する一流企業が並び大手繊維企業や、中小の繊維問屋、アクセサリー・ハンドバック・鞄等の卸屋が日本一の船場の街を作ったのです。更には百貨店、三越・白木屋・松坂屋・高島屋が堺筋を日本で有数の街にしました。
そして昭和8年に着工した御堂筋が戦後の主役となり、6つの地下街ができ、一流企業のビルが立ち並びました。阪急・大丸・高島屋が全盛を迎えたと同時に流通の変化によるダイエーをはじめ大型スーパーが旧商店街を衰退させ、更にこの10年〜20年はまさにコンビニ・ユニクロ・100円ショップ・250円の牛丼・居酒屋ブームがあり、大型スーパーや郊外店の倒産も続きました。
そして現在、その大阪のシャンゼリゼと言われた御堂筋から賑わいが、西に移動しつつあります。JR大阪駅のアクティをはじめ、新しい商業施設ができ、三越・伊勢丹をはじめ今話題の店が集まり、更にリッツカールトン・ヒルトンそして中央郵便局も商業施設として工事に入りました。まさに道が、街が大きく動いているのです。ミナミでも御堂筋の西、堀江・なにわ筋に若者の街ができています。日曜日に一度皆様もお越しになってください。まさに目からウロコです。びっくりします。そしてその動きが更にナニワ筋まで街が動いているのです。
そんな環境の中で金儲けにもならないボランティアで街づくりのお手伝いをしてきました。ヨーロッパ村も私が名付けました。そして本当に汗もかきました。海外(特にヨーロッパ)に行く友人に、お土産代わりにタウンファニチャアや電話ボックス、小さなスポット、ガーデン等々の写真をもらいました。ここに新しい街を、この街の人達で作ろうということで有名なデザイナーに協力してもらい、街づくりの絵を安く描いてもらい、当時の大島市長に陳情しながら、若者の街ヨーロッパ村を作るんですと熱く申し上げました。出来上がったら若人のファンがドッとできますと話をし、『うん、面白いな、やろか』とご理解をいただき、それから具体的には歩道を倍の幅に、車道を一車線狭くする、電柱は地下へ埋めてもらう等、とにかく御堂筋から堺筋までの約2㎞を今迄と違った楽しさのある街を作るために清水町をはじめ東西の長堀までの各通りの店主にユニークタウンを作りませんかとくどき、大島市長から『大阪ユニークタウン第1号』に指定されました。
難波の髙島屋の前にマルイができ、その北側の道も綺麗にしようということで、私達のこの大阪西ロータリークラブのメンバーである竹中工務店の専務の山原さんに大変お世話になりました。その時この設計変更には3,000万円の費用がかかりましたと聞いたまま、1円も返しておりませんので、その後山原さんには頭があがりません。しかし持つべきはロータリーの友だとの感謝の気持ちは現在も忘れておりません。そして電柱を地中に、道は石畳にした日本一短い商店街『カフェストリート』という名前の道を作りました。そしてそれらの新しい街の中心に私共の英國屋があるというわけです。
もっとわかりやすく申し上げると、大きく街が変わる情報を誰よりも早く手に入れ、それに対応する戦略戦術を作って行くことが大事です。
私共のチェーン店は、東京駅。名古屋駅・京都駅・大阪駅・私鉄の始発駅、そして有名百貨店・地下街・空港等に出店致しております。それは365日人がいっぱいで、土日は3倍も4倍もの人が集まる一等場所以外には出さない、全ての店舗が№1ロケーションであり、また競争率も50〜100倍でした。だいたい3〜5年かかりましたが提案を何十回も出し、この場所には絶対に英國屋が必要ですと提言した店ばかりです。街の喫茶店はどんどん閉店しています。若い女性はスターバックスへ、煙草を吸う人はドトールへ。しかし考えてみますと、現在の人口分布は団塊の世代と言われる60歳上下10歳(50〜70歳)の女性はパワーもありお金も持っています。私共の店では残念ですが、皆様のような男性はターゲットと考えておりません。中高年の女性が安心できる高級喫茶から若い女性向けのスイーツカフェまで、出店ロケーションに合った業態で対応し現在も勝ち組として堅実に前進を続けています。
そして、何と言ってもこれからは女性ですよ。社会を動かすのも、家庭を動かすのも女性の時代なんです。そして決して会社は大きくしない、『スモール・バット・エクセレント』『小さいけれどピカッと光る会社』にしたいと思っています。
時間があと3分と娘から指導が入りましたので、最後に私が実行している『カキクケコ人生』を申し上げます。
カ 感謝・感動のある人生を送る
キ 希望を失わず、いつも前を向いて歩く人生
ク 苦楽を共にした奥様を大切にすること
ケ 健康な人生は毎日の努力ある生活から作られる
コ 高齢者という意識を持たず、常に若さを保つ
おしゃれと美人への恋心を忘れないこと

 

以上で時間丁度で終わります。