「甲子園球場」(中本 修司 君)

2010年7月26日 (第2521回例会)

毎日暑い日が続いております。プロ野球セリーグペナントレースも阪神タイガースが前半戦首位ジャイアンツに0.5ゲーム差の2位で折り返し、優勝を狙うには、絶好の位置につけていると言えると思います。また、高校野球も来る8月7日の開幕に向けて、大変熱い戦いが繰り広げられており、各地で次々と代表校が決定しつつある状況です。

本日は、阪神甲子園球場についてお話をさせていただきたいと思います。

1.甲子園球場の概要
1)甲子園の歴史
①1924年(大正13年)に建設される。以降スタンド、銀傘等増設
②1945年 戦争激化、空襲、プロ野球・中学野球中止、銀傘供出
③1947年 野球再開、甲子園ボウル開始
④2007年 大改修工事着工、2011年春改修工事完了

2)名前の由来
球場が建設された大正13年が、十干と十二支のそれぞれ最初の「甲(きのえね)」と「子(ね)」が出会う60年に一度の年であったため、縁起の良いこの年にちなんで「甲子園球場」と名付けられた。

2.リニューアル工事
当初はドーム球場を新築するという案もありましたが、用地の問題、事業計画、さらに現在の甲子園球場への思い入れ等の理由により、リニューアル工事を行い、球場を生まれ変わらせる方向に決定しました。主たる工事は平成18年度から開始され、21年度に全て終了させることが決定しました。

1)改修工事のコンセプト
①歴史と伝統の継承:つたの再生、銀傘の架替え、土のグランドの継承
②安全性の向上:阪神淡路大震災クラスの地震に耐える構造補強を実施
③快適性の向上:座席の改良・新設、ロイヤルスィート等新設、環境への配慮

2)改修工事の内容および工程
リニューアル工事は、プロ野球シーズンオフつまり10月から開始し、春の高校野球が開始される3月中旬までに、その年度の工事を完成させる必要があります。そのため、工程は非常にタイトであり、昼夜兼行、正月も1日のみしか休めない状況でした。
着工以来4年間に亘る工事でしたが、既存躯体を利用しつつ補強を行うという型枠鉄筋コンクリート工事の難しさ、銀傘用鉄骨のコスト急騰、ゲリラ豪雨等々施工上の試練も多々ございましたが、それらを克服して予定通り本年(2010年)春に、無事竣工を迎えることができました。

3.工事中のエピソード
1)岡田監督からのクレーム
①監督の座る位置からサインが見えない。ベンチの床の高さを変えること
②バットケースが少ない。

2)星野SDから
ビジター側の監督室のグレードが低過ぎる。世界の王監督をこんな部屋に入れるのか?
→大幅な変更対応した。

3)設計上の問題点
①銀傘下のサブスコアボードが、鉄骨に邪魔されて外野席最上部から見えない。
→急遽鉄骨の梁を加工して対応した。
②ロイヤル席のガラスに光が反射して、ボールが見えなくなりプレーに支障をきたす。
→ガラスの角度を上向きに変えて対応。

4.阪神タイガースの優勝がなかったのが幸い???
シーズンオフの限られた期間に、予定の工事を終わらせるために、わが阪神タイガースは優勝しないでくれたのかなと、「さすが思いやりのある球団だ」と感謝しています。日本シリーズを大阪ドームでやるわけには行かないし、もし優勝したら…とヒヤヒヤものでした。

というわけで、今年は是非とも優勝してもらいたい。そして心置きなく、生まれ変わった甲子園球場を使ってもらいたいと思っております。