2010年7月12日 (第2520回例会)
担当会員 中安 敬人 君
今日はAEDを使えるようになろうということでお話をさせて頂きます。なるべくならそういうアクシデントがないのに越ししたことはありませんが、AEDとはどういうものかご理解頂ければと思います。
私はAEDの普及促進をやっている立場にあります。貴クラブは3月に大手前高校にご寄贈されましたが、実際に持ってまいりましたので、最新式のAEDはどんな扱い方をするのかをご案内させて頂きます。
AEDとは自動体外式除細動器というもので、細動を除く医療機器です。除細動とは、心臓の心室の部分が突然震えだして機能が失われるという現象です。心臓が痙攣を起こしますと、血液が全身に流れなくなるので、それを取り除く、いわゆる電気ショックということになります。これは2004年7月まではお医者様や関連の方しか使えませんでしたが、それ以降は一般市民が使えるようになり、急速に普及してきました。
皆様は心電図をご覧になったことがあるでしょうか。激しい運動など、心臓に起因するような原因で痙攣を起こしますと心電図が乱れます。これを電気ショックで正常な形の心拍数に戻します。唯一、AEDでしか戻すことができません。平成14年、高円宮様がスカッシュをされていて、心室細動で倒れられ、残念な結果になりました。享年47歳、高円宮様の急逝以降、心室細動に対する対応が厚生労働省や消防庁で取り上げられ、薨去から2年後の平成16年(2004年)に一般人による除細動のための自動体外式除細動器(AED)の使用が認められ、広く普及してきました。直近では東京シティマラソンで松村さんが倒れられ時に、AEDが使われたことはご存知だと思います。
どういうタイミングで使って、どれぐらいの効果があるかといいますと、病院外で心臓に起因するような原因での心肺停止の発生件数は年間6万件強、一般市民が目撃する件数は約2万件、心臓マッサージやAEDが使われなくて、応急手当ができないと残念な結果になり、8.2%の生存率しかありません。早急に対処すると生存率は随分上がります。その普及は国内で20数万台、ただ、一般の市民の方が、意識をなくされている方に対して、なかなか対処できないという現実があります。今、119番に通報すると全国平均7.7分で救急車が来ますが、その間、待っているだけでは蘇生率が下がってしまいますので、放置しないで心臓マッサージやAEDを使うということを厚生労働省は指導しています。AEDを使うまでの理想の時間は3分、もう少しかかるようであれば、心臓マッサージが効果的です。
ご質問として「対処することで、かえってまずくならないか」と聞かれますが、血液が脳に回らなければ障害が残ったり、不幸な結果になるので、できるだけ心臓マッサージをしたり、積極的にAEDを使って頂きたく、法律的に違反になることはありません。千葉県野田市で、市民7名が協力し、救急隊の到着までに連携し助けたということで、社会貢献の表彰をされたというケースがあります。
せっかくの機会ですので、大手前高校に寄贈されました最新式のAEDを実際に見て頂きたいと思います。AEDを実際に見られた方はいらっしゃいますか。1割弱ぐらいの方が見られていますね。それでは実際に動かして、どういうものかというのをご理解頂いて、今後の参考にして、その場面に出くわした時には是非使って、人助けをして頂ければと思います。
操作は非常に簡単です。電源を入れて、パッドというものが心臓の動きをキャッチして必要であれば電気ショックを流します。使うタイミングとして、どういう時にどういうふうな順番で使ったらいいのかと思われると思います。例えば、街を歩いていて、前で人が倒れてしまった、どうも意識がない、肩を叩きながら意識の確認をします。やはり具合が悪そうだということで、他の人にも協力してもらって、119番に通報する、AEDを探してもらう、その間に指をあごに、もう一方の手を額にあて、あご先を上げ、空気の通り道を確保する。意識がなくて呼吸が止まっていたら心臓マッサージ、胸骨圧迫をします。乳首と乳首を結んだ中心に手のひらの付け根を置き、もう一方の手を上に重ねます。両肩を手の真上に位置させ、腕はまっすぐに伸ばして垂直に圧迫する、胸が4、5㎝下がる程度に押します。胸骨圧迫の速さは、一分間に100回程度を目安に行います。そしてAEDを使いますが、使うまでの時間の理想は3分です。
それでは実際に使ってみます。電源を入れて頂いて、音声ガイドに沿って操作を行ないます。パッドの図に従い、電極パッドを装着、パッドを貼る間も対処を続けます。コネクタを接続し、心電図の解析中、患者から離れるように指示があります。AEDの充電が完了したら安全を確認します。ショックボタンを押して、救急隊が到着するまでAED対処を続けます。
よく言われるのが「本当に使ってもいいのか分からない」ということです。電気ショックをしても必要がなければ放電されます。一般市民の方も積極的に使って下さいということで指導されており、音声が流れますので、その順番通りにします。ただ、実際には大変な状況の中ですので聞こえなかったりすることもあるかと思いますが、ガイドライン音声に基づいて使って頂いたら人を助ける率がグッと上がります。
我々としても皆様にご理解頂いて、使える方が一人でも多く増えることを願っています。キャノングループはAEDや心臓マッサージを指導させて頂くことで社会貢献という意味合いで、積極的に講習会やセミナーをさせて頂いています。もし、皆様の方で、話を聞いてみようという機会があれば、お申し付け頂ければお応えさせて頂きます。
本日は貴重な時間を有難うございました。