「ロータリーとわたし」(鴻池 忠彦 君)

2012年7月9日(第2609回例会)

 
私は、昭和59年3月(1984年)に中筋一朗さんと父・鴻池十郎の紹介で入会をさせて頂きました。当時の会長は儀賀尚豊さん、そして幹事が前島淳さんでした。
当時まだ30歳、よくもそんな若造を入会させていただいたものだと思います。委員会活動計画書の最年少者の記載欄には、十数年間、私の名前が掲載されていました。
ロータリーに入会後、しばらくしてから大阪JCに入会をしました。JCの入会面接で「普通JC卒業してからロータリーに入会するものや、君は順序が逆や」と言われたのを記憶しています。

また、親子でメンバーというのもめずらしかったと思います。当時、親子でメンバーになっておられたのは、私のほかに橋口新太郎さん親子がおられました。その後、いろいろな委員、委員長、幹事を歴任し、創立50周年にあたる2006-2007年度の会長を務めさせて頂きました。

 
次に、会社、KONOIKEグループの概要についてお話します。皆さんは「鴻池運輸」というとトラックでモノを運んでいる会社だろうというイメージが強いと思います。しかし、実際には、トラック事業そのものは、売上高の約10-15%程度で、売上の半分以上を占めるのが、実は、私たちが「マルチソーシングサービス」と呼んでいる、メーカー様の生産工場で製造工程の一部を請け負う業務請負です。
当社の主な業務が業務請負となった背景は、以下の通りです。当社は、明治18年に創業し建設、運輸業を営んでいました。大正時代に入ると、輸送手段は、馬力からトラックに変わります。当初は他の会社と同様、メーカーの工場へトラックで貨物を届けるだけの仕事でした。しかし、毎日、同じ工場へ出入りしているうちに、先方の担当者と親しくなり、そのうち貨物を届けるだけでなく貨物を倉庫へ入れるように言われ、次には、倉庫に入れるなら出す仕事もしてくれ、倉庫から出すならラインへ乗せてくれと言われます。ラインに乗せたら、今度は、そこにある電源スイッチを押せとなります。このように、芋づる式に仕事に取り組むようになり、現在では、製造の一部まで請け負わせて頂くようになりました。
当社のお得意先であるビールメーカー様の場合は、醸造工程は、企業ノウハウそのものですから自社の社員さんが担当されます。しかし、醸造以外の工程、例えば、容器(空缶、空瓶、キャップ)の供給、ラベラー(ラベルを貼る機械)、ケーサー(出来上がった製品を箱に詰める装置)の操作の一部を当社にアウトソース頂いています。このように、最近の日本のメーカーでは、企画開発、原材料の調達、製造などのコア部分はメーカー様がご自身で担当されますが、コア以外の作業は、当社のような請負会社にアウトソースされることが多いようです。
次に、鉄鋼メーカー様の場合、製鉄所には高炉、転炉(製鋼)そして圧延、冷延、メッキラインなどがあります。ここでも、高度な技術を要し、品質に大きく影響する工程は、自社の社員が担当されます。しかし、その周辺作業の多くはアウトソースされています。例えば、当社で請け負っている作業に、高炉、転炉の製造工程で発生するスラグという千数百度もある廃棄物の運搬と放冷作業があります。
そのほかには、日本に輸入されたドイツ車の点検整備作業も担当しています。全国のディーラーに出荷する前の点検整備作業です。明るく広々とした整備センター(Vehicle Processing Center)には、当社の若いメカニックが常駐し、一台一台チェックリストに基づいて日に約200台の車両の点検整備を行っています。整備には、それぞれの工程に合った社内ライセンスが必要となります。新型モデルが発表されると、リーダークラスの人間は、ドイツ本国まで出張し技能講習を受けます。整備士の最高峰にはマイスターという称号が贈られるので、それを励みに日々整備に取り組んでいます。
医療・介護の分野の仕事にも取り組んでいます。全国の約700病院と契約をいただき、当社の12ヶ所の滅菌工場において、治療に使用する診療機器の洗浄滅菌、内視鏡、人工関節の洗浄と点検整備作業を担当しています。さらに、病院内では、手術室での手術の準備と術後の清掃、また、中央材料室における、医薬品、診療材料の在庫と受発注の管理業務も行っています。またフィリピンのセブにある医療大学と提携し、日系フィリピン人を介護士として養成した後、日本の介護施設へ派遣する事業も行っています。
また、2年前にJALの子会社3社の90%の株式を当社が取得しました。現在、関西空港におけるJAL便のほか、アリタリア、シンガポール、エミレーツなど15の外国航空会社の搭乗手続き業務も、当社の社員が担当しております。そのほか、ラウンジサービス、航空機の誘導、グランドハンドリング、機内清掃などの業務も担当しています。このように、多岐にわたる分野で、さまざまな業務に取り組んでいますので、関係する法律も多く、社内にコンプライアンス委員会を設置し、漏れのないよう社内でのチェック体制を整備していますが、これには、かなりの労力と神経を日々使っています。

 
次に、私生活ですが、基本は大阪をベースにしています。大阪では、淀屋橋のマンションに一人暮らしですが、夜は会食が入っているので一人で食事をすることはほとんどありませんが、一人で食事をするときには、珉珉の餃子2人前とビール、これが最高、私にとって至福の時です。週の間は、大阪か東京に居て、週末は京都へ帰り家族と過ごすというのが生活パターンです。京都に住むようになって5年が過ぎました。京都には、美味しいお店がたくさんありますし、祇園、先斗町、上七軒などの花街もあり、京都の生活はそれなりに楽しいと思いますが、大阪人の私には、どうしてもなじめない京都人気質というものがあります。もしも、京都市出身の方がおられましたらお許しください。京都人はしたたかですから、本性は、他県の人にはなかなか見せません。相手を注意深く観察します。そして、最後の最後まで本音は言いません。だからこそ、千年の都となり得たのでしょうね。京都はフランスのパリにもある独特の排他的なところが共通するように思います。したたかな京都人に対し、大阪人は極めて単純明快な動物です。「えらい高いな」、「まけて」とすぐに本音を口に出します。まあ、京都は嫌いではないですが、やっぱり大阪でんな。大阪がよろしおま。珉珉のぎょうざとビール、これが最高や!