「大阪 建もの探訪2」 (上田 茂久 君)

2012年1月23日(第2586回例会)

 

皆さんこんにちは。卓話の番が回ってきました。今回で、新入会員時の卓話を含めて、確か8回目となります。卓話は様々なRC活動と同じように、大変自分のためになっております。この時間に、なにか役に立てる情報を提供できないかと考えています。
最近入会された方もおられますので、簡単に自己紹介をさせていただきます。私は北区中津で建築設計事務所を主宰しております。業務内容はビル、マンション、住宅など一通りの建築設計業務を行っています。最近では、リニューアル、マンションの大規模修繕、耐震診断、建物劣化診断等の業務が増えてきております。
昨年の大震災は自然の脅威を見せつけられました。今年は復興の年となるでしょう。建築業界を上げて復興に取り組まなくてはいけないと思っています。すでに復興にご尽力いただいてます皆様には、安全に留意され、ご活躍されることをお祈りいたします。
今日は「渡辺篤史の建もの探訪」をもじりまして「大阪 建もの探訪2」とし、大阪にある有名な建ものを紹介したいと思います。前回の「大阪 建もの探訪」では大阪の歴史的に価値のある国宝、重要文化財、登録文化財を写真で紹介しました。今回はそれ以外のレトロな建物を紹介したいと思います。ちなみに、大阪には国宝、重要文化財は103件、登録文化財に至っては521件あります。ほとんどが寺院、神社の類ですが、住宅、文化施設もあります。

 

○日本銀行大阪支店
設計は辰野金吾・葛西万司・永野宇平冶。緑青の色が美しい円屋根を持つ、レンガと石造りの本格的洋風建築。真ん中にドーム型の屋根とその両脇に三角屋根を組み合わせた形になっている。新館の窓ガラスに美しく映っているのが見られる。
○シェ・ワダ高麗橋本店
設計は辰野片岡建築事務所。
白い花崗岩のラインの煉瓦造り。角地の角が曲面で柔らかな印象にするとともに、エントランスを斜め部分に設けることで、建物のファサードをこの部分に集中させている。
○大阪松竹座
設計は木村得三郎。
南の繁華街、道頓堀にある、大正末期から大阪の顔として親しまれてきた洋式劇場。後に正面壁をファサード保存した形で改築され、現在は歌舞伎を主体に興行する劇場となって賑わっている。
○大阪倶楽部
設計は安井武雄。
安井の自由様式の代表例。大林組施工。大阪の近代三大名建築(大阪ガスビル、綿業会館)の一つ。屋根は洋瓦葺き、外壁は瀬戸産の素焼きタイル。総工費は当時の金額で55万円。
○大阪府庁舎
設計は平林金吾・岡本馨。
大正末期の庁舎建築。都道府県庁舎の中では最も古い建物。この建物は、3代目の府庁舎で、外壁に石材と白い擬石タイルを用い、シンプルな中にも古さを感じさせません。