「新入会員の話」(只井 恒満 君)

2010年8月30日 (第2525回例会)

この度、ご縁を頂きまして入会させていただきました、日本茶の製造・販売業をしております㈱榛原の只井恒満でございます。ご推薦頂きました横尾様、大塚様をはじめ、入会のご承認を頂きましたクラブの皆様には、この場をお借りしまして御礼申し上げます。

私は大阪市内で昭和40年に3人兄弟の末子で生まれました。父は静岡の茶農家の次男坊で生まれ育ち、農業は自分には合わないということで昭和29年にお茶屋を営んでいた伯父を頼って来阪し、そこで商売を学んでから独立しました。会社の設立は昭和49年に百貨店と取引を開始したことが契機でした。昨年がちょうど創業50年という節目の年であったことから父は社長の役職を私に譲りました。

私共の会社の社名は父の出身地であり、静岡の茶処である「榛原(はいばら)」という地名からとっております。

私が昭和63年に大学を卒業し、出店しております近鉄百貨店阿倍野店に入店した当時は、お中元やお歳暮は誰しもが百貨店の包装紙でないと贈り物に相応しくないという認識がありましたので、繁忙期はまさに猫の手も借りたいような忙しさでありました。当時から比べますと、昨今のお客様は百貨店の包装紙というよりも、インターネットや通販など身近な所で贈り物を選ばれたり、値引きや送料無料などの特典のある、買い手にとって、メリットのあるものを選ばれるように変化したと思います。

茶業界では、近年の大手メーカーによる緑茶ドリンクの市場が4,000億円を超えるまでに成長したことにより、茶業者がお茶を買入れる価格に大きな影響を与えるようになりました。また消費者の急須で入れるお茶離れが専門店にとっての大きな課題となっております。急須で入れるお茶の味わいと香りはペット飲料のお茶よりも優れている事は確かですが、茶葉の持ち味を引き出すためにおいしく入れることが難しい事も確かなことです。

「お茶は茶葉から入れるもの」という食育を業界全体で推し進めなければ、今後消費者の支持を得るはできないという危機感を感じております。

茶の湯の世界でよく使われる「一期一会」という言葉があります。茶会は毎回、一生に一度だという思いをこめて、主人、客とも誠心誠意、真剣に行うべき事を説いた言葉です。私は、この言葉を茶業に関わる者として大切にしてゆきたいと思っています。従業員にはこの「一期一会」の言葉を接客時の心構えとして大切にするように常々申しております。自分自身もこの言葉の意味をよく考えて大阪西ロータリークラブでめぐり会えた皆様と交流して、いろいろ学び、自分自身の見識の向上を図りたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。ご清聴頂きまして有難うございました。