「日本女子プロ野球リーグについて」(日本女子プロ野球機構スーパーバイザー 太田 幸司 氏)

2011年8月8日(第2567回例会)

(担当会員:大富 國正 君)

皆さん、こんにちは。私はかつては甲子園で熱くやっていましたが、現在は女子プロ野球の方で熱くなっています。昨年からスタートした女子プロ野球、この存在を知っていたという方、球場で観戦された方はいらっしゃいますか。まだまだ認知度は低いです。今日はこの場を借りて女子プロ野球のPRをさせて頂きます。
昨年から女子プロ野球リーグがスタートしました。何故今女子野球なのか。女子の硬式の野球人口は600~700人程度、女子の軟式野球は30数年前から本格的にされています。そんな中で女子の硬式野球が本格的にスタートしたのが1997年、アジアのチームが日本のチームと硬式で親善試合をしたいというところからスタートしました。その時、日本に組織だったチームがないことから、その年に全国高校野球女子硬式野球連盟が発足し、鹿児島の神村学園、関東の埼玉栄、花咲徳栄の3つの高校で正式に女子硬式野球チームができて、2000年には関東で駒沢学園女子高校、蒲田女子高校で女子野球部が設立され5チームで10年間女子高校野球を引っ張ってきました。2009年には関西で初めて福知山成美高校に女子野球部ができて現在は7校、そのあたりから徐々に初期の生徒たちが卒業し、各地でクラブチームを立ち上げたりしているうちに大学、短大、専門学校に女子の硬式野球部ができ、そういう流れの中でここまで来ています。
何故女子プロ野球を立ち上げたかといいますと、ブルーベリーアイでおなじみの「わかさ生活」の角谷社長が、たまたま女子野球を観た時に、彼女たちの野球に対するひたむきな一生懸命さを応援できないかなというところから、みんなが目指せる、目標になる何かをつくろうとしたのがスタートのきっかけです。協力要請のお話を頂いた時、私自身女子野球のレベル、状況が全く分からず色々と見せて頂いたところ、彼女らの笑顔が良くて、野球が好きというのがビンビンと伝わってくるようでした。昔の自分をオーバーラップさせて「これが野球の本当の姿なんだろうな」と、是非応援したいなという思いで、2010年から女子プロ野球がスタート致しました。
今、なでしこジャパンのワールドカップ優勝で非常に盛り上がっていますが、女子野球にもワールドカップがあることをご存じでしょうか。まだ参加国が少なくて注目を浴びていませんが、今まで4回あって3回、4回大会と日本は連覇しています。女子の選手たちは人数が限られているので、打って投げて走ってと、色々なポジションをこなせるオールラウンドのプレーヤーが非常に多いです。また、野球をやりたいということで野球部のある高校を選んで遠いところから進学する子も増えています。但し、限られた7チームであり、それができない子は野球を辞めたり、ソフトボールに転向したりしています。そういう難しい環境の中で選手たちは女子プロ野球に入ってきました。また、全く経験のないテニスや槍投げで活躍した人が飛び込んできて素晴らしいプレーを見せる選手もいます。まだまだこれからのリーグですが、昨年よりも今年一年間で明らかに成長しています。可能性を秘めており、彼女らの一生懸命に取り組む姿勢に、我々としては彼女らに技術はプロとしての高いレベルを極めてほしい、精神的なところでは高校野球の延長、野球ができる環境に感謝して、野球ができる喜びを忘れずにひたむきに取り組んでもらいたいなと思っています。
我々は、女子プロ野球が成功するだけではなく、どんどん底辺が広がることを期待しており、着実にこの一年で嬉しい影響が出てきています。16歳以下のユースチームがどんどんできて、その大会もあるなど、ここ数年で爆発的に女性の硬式野球人口が増え、それに伴って高校やクラブチームも増えると思われます。
女子プロ野球は去年2チームでスタートしました。後に続く小さな子供たちの夢を叶えるためにも絶対に続けていって、数年後には女子野球が本当にポピュラーになるように、5年、10年後には女子高校野球甲子園大会のような全国規模の大会ができたらいいなと、色々な夢を持って今やっているところです。いよいよ来年には3チーム目をスタートさせることが決まっています。今は「わかさ生活」一社にサポートしてもらっていますが、将来的には色々な形で色々な方に支援して頂きたいと思います。大阪に新チームができるのをきっかけに、女子野球界全体を将来的に盛り上げるために応援していこうという思いのある企業や団体の方々に集まって頂いて、みんなで女子野球を育てる形で、草の根運動のような形で進めたいと考えています。なでしこジャパンのように、どこかできっかけがあれば大ブレイクするコンテンツだと思っていますので、先を見据えて応援して頂ければ幸いです。一回球場に観に来て下さい。「元気に一生懸命やっている姿はいいよな」というお声を沢山頂きます。それが女子野球の今の魅力だと思っています。
暗い話題ばかりの世の中ですが、こういう時こそ、全てを忘れて元気をもらう、それがスポーツの使命であり、大きな役割だと思います。そういった意味で彼女らのプレーはそれに値するのではないかと私自身も自負しています。今日お集まりの皆様には是非一度グラウンドに来て観て頂きたいと思います。触れ合いを非常に大事にしており、試合が終わると、選手もスタンドの清掃をして、ファンの方と握手をしたり、お帰りになる際にはお見送りしたりと、ファンと一体になってリーグを盛り上げていこうという形をとっています。オフの日は野球教室で子供たちと触れ合ったり、催し物をしたり、授業の一環として参加したり、社会貢献なんかもやっています。皆様の温かいご支援をどうかよろしくお願い致します。
このリーグは前期20試合、後期20試合、その間に全国を回るシンデレラシリーズ10試合があります。その一つを8月15日に京セラドームで行いますので、是非来て頂ければ幸いです。本日はどうも有難うございました。