「これからのロータリー」( 神崎  茂 君)

2011年2月14日(第2545回例会)

日本のロータリーの現状
日本のロータリーの会員数は2005年6月末で100,710人で2010年6月に89,388人になり、この5年間で11,322人(11.2%)減少しています。
当2660地区の会員数は2005年7月末で4,147人、2010年7月末に3,742人となり、この5年間で405人(9.7%)減少しています。
会員減少の理由について、かなり以前から日本のロータリアンの間でささやかれている言葉にロータリーの3Kという言い方があります。即ちロータリーの(1)高齢化、(2)高コスト化、(3)クラブ運営の硬直化の3Kという言葉です。
日本のロータリアン退会の理由は以下の3つの不足です。即ち(1)クラブのリーダーシップ、(2)費用に見合う充実感、(3)やり甲斐を感ずる奉仕活動です。

 

世界のロータリーの現状
世界では会員数は120万人ないし122万人で推移しています。毎年平均16万人(13%)が退会し、同数の新入会員を迎えて全体で約120万人を維持しています。もし会員増強が無ければ5年間で会員数が半減することになります。 2003年から2010年の7年間に92%が退会し、同数の新入会員と丁度入れ替りました。8年以上の会員歴を持つ会員は8%に過ぎないのが現状です。国際ロータリーがクラブの運営についてリーダーシップを強調する理由がここにあります。
退会の理由の40%は転宅、転職、死亡、引退等止むをえない事情によるものですが、60%は原因不明です。
2008年9月に発生したアメリカのリーマン・ショックの影響が国際ロータリーにとっても大きな問題を提起しました。
国際ロータリー、ロータリー財団の両組織が被った損出は合計3億3千万ドル(1ドル80円換算で、日本円264億円)です。
国際ロータリー、及びロータリー財団の組織運営、並びにプログラムの再編成に発展し、その一部はすでに実践されつつあります。
世界の現状をふまえて国際ロータリーは長期計画を作製し、「中核となる価値観」と「七つの実践項目(実践目標)」を策定し発表し、その内容は以下の通りです。

 

「中核となる価値観」
Service(奉仕)
Fellowship(親睦)
Diversity(多様性)
Integrity(高潔性)
Leadership(指導力)

 

「七つの優先項目」(実践目標)
ポリオ撲滅
公共イメージの向上
ロータリー活動の増大
会員増強とその維持
職業奉仕の取り組み
指導力の育成啓発
長期計画の継続性と一貫性

 

ロータリー財団も又同じように以下の計画を発表しています。

 

「Future Vision」(未来の夢計画)
プログラムと運営の簡素化
最大の成果(費用対効果)
意思決定の地区への移行
公共イメージの向上

 

ロータリー財団はプログラムや補助金の中味と名称の変更等によって大変革に取り組んでゆくことになります。
1905年ロータリークラブが発足し、106年を経た今日もロータリークラブです。戦前の日本では、○○倶楽部と漢字が使われていました。クラブ制度は、古代ギリシア・ローマ時代から存在し、19世紀になって英国で発展し、今日まで続いています。日本に於けるクラブの始まりは福沢諭吉が明治9年(1876年)に設立した万来社です。又今日まで続いている公詢社も諭吉によるもので、明治13年(1880年)設立です。
20年近く続く我国のデフレ不況のなかで、これからもクラブ会員数の減少は続いてゆくと考えられますが、ロータリークラブ存続の意義は決して消滅するものではありません。先ずロータリーは人材の宝庫です。単に事業経営の専門家であるだけでなく、多才な才能の持ち主の集りです。茫漠とした地球社会、国家や企業を含めた組織社会、それらと拮抗して個人の心の居場所としてのもう一つの人間関係がロータリークラブにはあるからです。困難な状況であるほど、我々の人生のオアシスとしての大阪西ロータリーのあり方が問われてゆくものと思われます。