「ガバナー公式訪問」(国際ロータリー第2660地区ガバナー 大谷 透 氏)

2010年2月15日 (第2502回例会)

ガバナーの公式訪問の目的は、RI細則15-90に規定されていますが、一言で云えば「クラブを励ますこと」です。クラブの健全度は①奉仕の内容、②会員数の推移、③例会出席率、④地区への貢献度、などで評価されます。①奉仕の内容は歴史のあるクラブだけあって、会務奉仕部門では会長の方針:親しく楽しくの例会に心がけられ、新世代への奉仕ではRACも提唱し、又、社会奉仕、国際奉仕と、バランスのとれた奉仕活動をなさっておられ云う事はございません。国際奉仕も高雄西RCとの交流に加え、大阪リバーサイドRCと共同でメキシコのRCとのMGプロジェクトを行わんとしておられる由。頑張っていただきたいと思います。②③の会員数の増減と出席率はクラブの活性度のよい指標で、出席率は、ずーっと90%上位を保っておられて立派ですが、80%台に下がると、会員数も80台と、微妙に関連するようです。ケニー会長の希望をかなえて、1名以上の純増達成をよろしくお願いします。④地区への貢献度ですが、神崎PGには地区において職業奉仕や、研修委員会でご指導頂いていますし、山内さんにはRAC委員会の副委員長という重責を、又、田中さんにはGSEでTEXASチームとの交流に一肌脱いでもらっていますし、米田さんには米山奨学委員会と地区には随分貢献して下さって、感謝しています。1週間後の地区大会にRI会長代理としてビチャイ・ラタクル氏が来られます。彼のテーマは「慈愛の種を播きましょう」(Sow the seeds of love.)でした。ここでLoveを日本語では慈愛と訳されましたので、恵まれない人びとのために、慈善を施しましょうと云う意味だと理解していました。しかし、人の心にも愛を播きましょう、と云っておられるのです。

ロータリーのcore value の一つが「寛容」です。“愛”は“赦し”に裏打ちされています。Love is art of forgivenessという名言があります。Artは客観性を求めるscienceと反対の言葉で、個別的に心に働きます。相手の心の隅に悪かったと云う思いが生じるような赦し方をする事は、まさに芸術なのです。それが「愛の種を相手の心に播く」ことなのです。その時点では何の変化も起こりません。種を播いても直ぐには芽も出ず、勿論 実も生りません。すぐには自分の気持がおさまる様な結果は出ないのです。しかし、やがて芽を出し育ち“和らぎ”の実を結ぶようになります。こうして出来た仲のよい交友関係が会員維持に役立ちます。

今年度のRIのテーマ「ロータリーの未来はあなたの手の中に」は、マハトマ・ガンジーの言葉「未来は、私たちが現在なにをするかによって決まる」を重く受け止めて、決めたということです。我々は信頼に応えてロータリーの中核をなす価値観(core value)を身に付ける必要を感じ、地区のテーマを「ロータリーを身に付けよう」としました。身に付けるべきロータリーの基本は何か。ロータリーの綱領(目的)は“奉仕の理想”を鼓吹し育成することです。英語の原文“Ideal of service”が示す概念とは、“人のニーズをよく汲み取って、そのニーズを理想的なかたちで満たしましょう”、という意味です。そして、これを4大奉仕にも適用するようにと念を押して、4つの項目を挙げています。

【第一項目】の「知り合いを広めよう」の原文では“development of acquaintance”即ち、知り合いの程度を発展させる事にも“Ideal of service”を適用せよというのですから、単に会員増強だけではなく、交友関係を深め、心の友を作る事も含んでいるのです。Personal な交友関係は人生の宝です。

【第二項目】は自分の職業にも“Ideal of service”を適用するのですよ、そのためには職業倫理を高く保ち、高潔さと誠実さ(Integrity and honesty)を忘れては駄目ですよ。これが一番 手近かで出来る社会貢献なのですよと云っているのです。職業に“Ideal of service”を適用すると云うことは、顧客の、そして従業員の、ニーズをよく汲み取って、最もその人たちのためになるようなかたちで、そのニーズを満たしましょうと言う事です。従って、They profit most who serve best. というのは、顧客のニーズを満たそうと最善を尽くした者の商売が一番繁盛する、と云う事ですから、納得できます。

【第三項目】は社会奉仕、【第四項目】は世界社会奉仕に於いて、地域の ニーズをよく汲み取り、それを理想的なかたちで満たして行きましょう、という事です。

国際的なロータリーの働きを財政的に支える財団には以下の強調事項があります。

水、飢餓・貧困の救済、識字率の向上、End polio now, world peace fellow の支援、これらを支援するために、一人いくらをと地区は提示しますが、それらを分担金として受け取らず。目安として受け取り、分相応の犠牲をはらって、祝福されてください。It is more blessed to give, than to receive. 人は受けるより与える方がより祝福されるのです。九牛一毛は司馬遷が皇帝を批判し、誅殺されようとした時に、自分は皇帝にとっては九牛の一毛のような者であるが、この一毛を大切にする心が大切だと皇帝に訴えた時に使った言葉です。ビチャイ・ラタクル元RI会長をロータリアンにした一つの事件、施設の子供をつれてビーチに行き、別れ際に一人の小さな男の子がビチャイさんの腕をつかんで、しんみりとあなたが自分の父親だったらどんなに嬉しいことかと云ったというのです。その少年のお陰で、自分はロータリアンになったと述懐されています。その子一人を救っても、大海の一滴なのです。しかし、小さな一つの心の交流を大切にしようではありませんか。自分の近くにいる一人の子供を宝だと思う心が、我々をロータリアンにしてくれるのです。おおぜいの死に行く人々をインドのカルカッタで世話をしたマザーテレサに、ある人が尊敬と賞賛の言葉を云った時、彼女は控えめに微笑みながら答えました。「私は 自分に出来る事をしているだけなのです。」

ただ自分に出来る事をするだけの「あなたの手の中に大阪西ロータリークラブの未来は」あるのです。