「メキシコチアパス州における医療援助について」(髙士 雅次 君)

2010年2月22日 (第2503回例会)

本年度国際奉仕委員長の髙士です。ロータリーでは毎年2月を世界理解月間と定めています。そんな関係もあり、卓話の時間に当クラブの国際奉仕活動の報告をするようにと言われ、出てまいりました。

国際奉仕事業の一つである世界社会奉仕プロジェクト(WCS)は、2ヵ国以上の国のロータリー・クラブが共同して社会奉仕を計画することから始まります。これには、人道的なプロジェクトであること、参加国のうちの1ヵ国がプロジェクト実施地であること等いくつもの基準があり、その中には必ず現地へ出向いて援助が届いたことを確認するというものもあります。

大阪リバーサイドロータリークラブは本年が創立三十周年で、その記念事業の一つとしてメキシコチアパス州における医療援助事業を計画されました。その事業に昨年度から当クラブも共同で取り組んできました。本来ならば前年度に現地確認まで終了しなければならなかったのですが、現地の準備が整わず、年度を越えた昨年9月のシルバーウィークに現地へ確認に行くこととなりました。

9月18日私は大阪リバーサイドRCの3人とともに、伊丹から成田を経由してロスアンジェルスへ、そこで1名合流して計5名でメキシコシティに向かいました。メキシコシティまでは約20時間の旅です。メキシコシティで一泊して、翌日は国内線でチアパス州の州都トゥストラ・グティエレスへ、そこから車で約2時間弱かけて現地の窓口を務めていただいたサンクリストバルRCがあるサンクリストバル市に到着し、現地視察等を実施した後、その夜サンクリストバルRCが準備した贈呈式に出席しました。

現地のチアパス州はメキシコ合衆国の中でも最貧州であり、430万人の住民の多くは農民です。人口のおよそ3分の1は原住民(マヤ・インディオ)でその多くはスペイン語を話せず、彼らの多くが栄養失調に苦しみ、その数は人口の40%以上と推測されています。数年前までは、サパティスタ民族解放軍という反政府ゲリラがチアパス州を中心として活動していました。

メキシコシティにしても、サンクリストバル市にしても赤道に近いためかなり暑いと想像していたのですが、高度が2,000メートル以上もあるため意外なことにかなり涼しく過ごしやすかったです。また、サンクリストバル市は色とりどりの家がまるでテーマパークのように立ち並ぶ大変きれいな街として有名な観光地で、欧米系の旅行者には人気があるようでした。

現地の様子や医療援助の実態については、DVDをご覧になりながら説明をします。

(以下はナレーションです)

メキシコのチアパスは美しい街です。ここは昔から美しく、住む人たちは礼儀正しく、山や谷、森や滝、川など宗教的な所を歩くのにも興味深い所です。

このように美しくて綺麗な所に、想像もできないような難問があります。多くの子供たちが栄養失調によって、色々な病に侵され、生活しているのです。その中には、唇の無い子供や、上顎がない子供たちがいるのです。現在のチアパスの子供達はこんな状況の中にいるのです。

そんな重い病を背負った多くの子供たちの苦しみを、広い心を持って理解してくれる人物がいました。それが医療援助プロジェクトを広めていった『ハルマス ミュージック』です。このハルマスが広めたプロジェクトは、やがてメキシコからアメリカ、イタリア、日本と言った国々へ広がって行きました。そして、そのそれぞれの国々の医師や医療メンバーたちは、皆、広い心を持った優秀な人たちが集っていったのです。その内の一人であるクレイパーのディレクター『Dr.アベラード アルズペ』は、「私のこの手は、この国で苦しんでいる子供たちを救うために、神様から与えられたものだ。この手は、私が死ぬまでそのために使い続ける」といっています。

います。  チアパスの子供たちは、食べ物を十分に与えられないので色々な病気に罹り苦しんでいますが、そんな状況の中でも救いがあります。プロジェクトチームの援助や励ましによって、食べ物や服を与えてもらい、時には、有名人たちを招いてミュージカルショーを開いたり、皆で歌を謡ったりして楽しんでいるからです。そうすると、その小さな顔から笑顔が出てくるようにもなります。その小さな顔は、汚れも何も感じさせない素直な笑顔です。そして、そこには明るさがあります。それこそが<愛>と<希望>の証しです。

このように、医療プロジェクトを支える者たちは、手術や薬によって病気を治し、今、苦しんでいる子供たちに、本当の生きる意味や楽しさを知って貰いたいと願っているのです。今までに、それを与えられた子供たちは、今、本当に心から笑うことができています。その子供たちにとっては、医療プロジェクトのお陰で、手術や手術痕のケアを施してもらうことによって、それまで食べられなかったミルクや食べ物を口にできるようになったからです。そうなると、それまで苦しみの中だけで生活してきた生き方すら、変わってしまうことにもなりました。

医療プロジェクトに拘わる者たちにとっては、そんな病に苦しむメキシコチアパスの子供たちを救う手助けとなれることを、全員が心より歓びと感じています。

これからも、苦しむ多くの子供たちに笑顔を取り戻してあげたい!!ということであります。

以上ご覧いただいたとおりで、昨年度大阪リバーサイドRCと共同で行ったメキシコチアパス州における医療援助事業に関する報告を終わります。