「税制改正のポイント」(小寺 隆弘 君)

2011年4月4日(第2551回例会)

東北地方太平洋沖地震に係る義援金等に関する税務上の取扱い ―平成23 年東北地方太平洋沖地震等に係る指定寄附金の指定―

 

はじめに
平成23 年東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震に関し、中央共同募金会が募集するNPO法人や民間ボランティア団体等向けの寄附金を、「指定寄附金」に指定する旨の告示(平23.3.15 財務省告示第84号)が行われましたので紹介します。
(注)上記の「指定寄附金」は、平成23年3月11日から平成25年3月31日までの間に支出された寄附金について適用されます。

 

1.東北地方太平洋沖地震に係る義援金を支出した場合の税務上の取扱い
内国法人が各事業年度において支出した寄附金について、その寄附金が次の各号に掲げる寄附金に該当するときには、その支出額の全額を損金算入することができることとされています(法法37③)。
(1)国又は地方公共団体に対する寄附金の額
(2)公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして財務大臣が指定したものの額
①広く一般に募集されること。
②教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
従って、法人が東北地方太平洋沖地震に係る義援金等を寄附した場合に、その義援金等が「国又は地方公共団体に対する寄附金」(国等に対する寄附金)又は「指定寄附金」に該当するものであれば、支出額の全額が損金の額に算入されることになります。

 

2.「国等に対する寄附金」及び「指定寄附金」に該当する東北地方太平洋沖地震に係る義援金等「国等に対する寄附金」又は「指定寄附金」には、次に掲げる義援金等が該当します。
【国等に対する寄附金】
①国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金等
②日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で最終的に国又は地方公共団体に拠出されるもの
③社会福祉法人中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための基金」として直接寄附した義援金等
④上記以外の義援金等のうち、寄附した義援金等が、募金団体を通じて、最終的に国又は地方公共団体に拠出されることが明らかであるもの(募金団体を経由する国等に対する寄附金)
【指定寄附金】

①社会福祉法人中央共同募金会の「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」(平23.3.15 財務省告示第84号)として直接寄附した義援金等

(注)募金団体を通じた義援金等に係る税務上の確認手続きについて
募金団体が受ける義援金等が、最終的に国や地方公共団体に拠出されるものであることが新聞報道、募金要綱、募金趣意書等で明らかにされており、そのことが税務署において確認できれば、上記「国等に対する寄附金」④の「募金団体を経由する国等に対する寄附金」に該当するものと取り扱われます。
具体的な確認事項、確認手続き等については、「国等に対する寄附金又は災害義援金等に関する確認事務について(事務運営指針)(平成14年2月25日課法2-3ほか)」を参照の上、最寄りの税務署の法人課税部門又は個人課税部門にご確認ください。

 

3.義援金等を寄附した法人が寄附金の損金算入の適用を受けるための手続き
法人税確定申告書の別表14(2)「寄附金の損金算入に関する明細書」の「指定寄附金等に関する明細」に寄附した義援金等に関する事項を記載し、義援金等を寄附したことが確認できる書類を保存する必要があります。
(注)日本赤十字社や中央共同募金会の「東北関東大震災義援金」への寄附を郵便振替で行った場合には、郵便窓口で受け取る半券(受領証)をもって寄附したことを証する書類として差し支えないこととされています。

 

【参考】
財務省告示第84号
所得税法(昭和40年法律第33号)第78条第2項第2号及び法人税法(昭和40年法律第34号)第37条第3項第2号の規定に基づき、寄附金控除の対象となる寄附金又は法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する寄附金を次のように指定し、平成23年3月11日から平成25年3月31日までの間に支出された寄附金について適用する。
平成23年3月15日 財務大臣 野田 佳彦
社会福祉事業に関する民間奉仕活動を行う団体等が平成23年東北地方太平洋沖地震又は長野県北部の地震(平成23年3月12日に発生した長野県北部を震源とする地震をいう。)による被災者の救援活動等に必要な資金に充てるものとして、社会福祉法人中央共同募金会に対して支出された寄附金の全額。