「ロータリー財団月間に因んで」(当クラブ会員 神崎 茂 君)

2010年11月8日 (第2533回例会)
担当会員  鴨谷 清三 君

ロータリー財団の正式名称はRIのロータリー財団です。RIもロータリー財団も一体のものです。

1917年 6人目のRI会長アーチ・クランフがロータリー財団を創設しました。ロータリーが基金を作り、全世界的な規模で慈善、教育、その他社会奉仕の分野で「何か良いことをしようではないか」と提案し、1928年 国際大会でこの基金はロータリー財団と命名されました。この時、アーチ・クランフが思い描いたプログラムの多くが現在、国際親善奨学金、研究グループ交換(GSE)、マッチンググラントとして生き続けています。

1930年、40年代、様々な努力が続きましたが、特定のプログラムが無くてはそのエネルギーも資金も十分発揮することができませんでした。

1928年にロータリー財団として正式に発足しましたが、翌年の1929年に大恐慌が発生し、1938年には更なる大不況に遭遇しました。戦争が終わり、1947年、ポール・ハリスが死去し、彼を記念して募金活動を行ったところ100万ドルの目標に対して200万ドル以上が集まり、この資金が本格的な財団活動の出発となりました。

現在の財団の資産は7億ドル、日本円で560億円です(以下1ドル80円で換算)。現在までに奉仕活動に使われた資金の総額は20億ドル、1,600億円になります。マッチンググラントは29,000件以上です。

1947年に国際親善奨学金制度が設立され、18人の若い人々が選ばれて他国に留学したのが最初で、今日までに115カ国以上から4万7,000人以上の奨学生を援助し、これまでに4億7,600万ドル、380億8,000万円を支給し民間団体として世界最大の奨学金となっています。

ロータリー財団に対する日本のロータリアンの長年の貢献は多大なものでした。会員数が減少し続けている昨今でも地区別寄附額(2009、10年度)は日本の34地区中、当2660地区は3位で約7,000万円です。2660地区85クラブ中3位の大阪西RCの寄附額は総額15,750ドル、126万円で一人平均153ドル、12,240円です。

2010年、本年度財団活動の最重要プロジェクトはポリオプラスです。ポリオ発症数は349人でアフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタンその他です。

あと一息で終息と期待するところですが、実際には難しいのではないかと思います。先述の国々は戦争状態で、ワクチン授与の活動が制限されるからです。これまでに、12億ドル、1,000億円が支出されていますが、まだまだ長期間続けられることになるように思われます。当初計画では、1985年から2005年までの20年計画でしたが、今日も尚一層続けられているのが現状です。本年11月号の「ロータリーの友」にショッキングな記事がありました。数10年前にかかったポリオの生存者が今、ポストポリオ症候群と闘っているという話です。ますます終わることのないプロジェクトであるというのが実感です。

2010年度までのロータリー財団の三大プログラムを要約すると以下の通りです。

1.ポリオプラス

2.教育的プログラム
(1)国際親善奨学金
(2)研究グループ交換プログラム(GSE)
(3)平和フェローシップ

3.人道的補助金プログラム
(1)地区補助金 DDF
(2)マッチンググラント

ここで2008年9月に発生した所謂リーマンショックの影響によりロータリー財団資金の運用上の赤字が発生し、2007年度~2009年度の2年間に総計2億2,200万ドル、177億6,000万円となりました。その上、RIの資金運営上も1億ドル、80億円以上の損出を出すこととなりました。この多額の損出は今後ロータリー財団の計画に大きな影響を与えることになると思われます。

3年後の2013、14年度を目途に財団プログラムに大変革を行う「未来の夢計画」として既に発表し、実施に入っています。

今後の方針は以下の通りです。

1.財団の使命に沿ってプログラムと運営を簡素化する
2.成果が期待できる奉仕活動に焦点を絞る
3.世界的目標と地元の目標を明確にする
4.意思決定権をできるだけ地区に移行する
5.財団活動について広報に力を入れる

財団プログラムや補助金の名称も委員会構成も大きく変革されることとなります。数年前に亡くなった経営思想家ピーター・ドラッカーは「非営利事業の目的は社会と人間の変革である」と云っています。

ロータリーもロータリアンも世界も変わってゆくことになります。105年の歴史を経たロータリークラブが変化して夢のある未来に向かって成長することを願っています。